Masako Imai's Cafe

Words
『ミヤケマイ』サイトに寄せた一言

猫になりたい

「猫になりたーい」と言う人の気持ちが理解できなかった。猫はお気楽でいいとか、何やっても許されるからズルイとか、甘え上手でうらやましいとか、思ったことはなかった。
 そんなわたしが、「猫になるのも悪くないかも」と思った。ミヤケマイの描く猫(ならべて見ると、「描」と「猫」って似てますね)の前に立ったとき、突然、ひらめいたように、そう思った。
 スーパーボールと戯れる猫。じっと虫を見つめる猫。ひたすら昼寝する猫……。ミヤケマイの絵の中には、マイペースな猫の時間が流れている。彼女の描く世界に暮らす猫たちは、自分たちのやりたいことに没頭し、誰にも邪魔させない。見るのは勝手だけど、下手な猫なで声なんか出さないわよ、とでも言いたげなオーラを放っている。かわいいけど媚びない、愛嬌はあるけど飼いならされない。ある意味、本物の猫よりも猫らしいのかもしれない。ミヤケマイ本人にも通じるところがあるような気がする。 あたしはあたし、あたしの時間を生きてるの、と勝手気ままにやっているのに絵になるミヤケマイの猫たち。絵の中に向かって、「外の世界と一瞬取り替えっこしない?」と言いたい気分にとらわれるが、わが道を行く猫たちは、わたしの言葉を聞く耳など持たない。
 最近、ミヤケマイのイラスト便箋を愛用している。そこには、お茶を立て、一服する豚が住んでいる。それを見ながら、「猫もいいけど、豚も悪くないな」と浮気しつつあるが、ミヤケマイの豚もまた、振り向いてくれる気配はない。

今井雅子
いつかミヤケマイとお仕事したいと思っている脚本家・コピーライター。脚本作品に映画『パコダテ人』『風の絨毯』、テレビドラマ『彼女たちの獣医学入門』、ラジオドラマ『雪だるまの詩』など。最新の仕事は日本冷凍食品協会の冷凍食品ソング『冷凍マイナス18号』の作詞。
友人のイラストレーター・ミヤケマイはとどまるところを知らない勢いで勢力拡大中。個展に行ったり活躍を聞いたりするたび、パワーをもらっています。オフィシャルサイトがない頃はミヤケマイ情報目当てのお客さんがいまいまさこカフェに出没していましたが、今は立派なサイトができました。

2000年 放送文化基金 機関紙『わ』

印度綿→魔法瓶

 きっかけは、地下鉄の構内で見かけたポスターだった。「印度綿」というキャッチコピーが目に入った瞬間、なぜか「印度象」を思い浮かべてしまい、同時に、すごいことに気づいてしまった。「印度象の度と象を入れ替えると、印象度になる!」のである。印象度という言葉、一般的な用語かどうかわからないけれど、コピーライターの仕事現場では好んで使われる。「このコピーは太ゴシックで組んだほうが、印象度が上がりますね」という具合に。英語にすると、インプレッション・レベルといったところだろうか。早速、同僚のデザイナーに「面白いこと発見しちゃったー」と自慢すると、彼は言った。「印度象の中には、『象印』と温度の『度』が隠されている」。それを聞いた途端、沸騰する魔法瓶のイメージが頭の中に広がった。いつか、印度象が登場する印象度の高い象印の広告が世に出たら、制作者は私かもしれない。  文字を並べ替える言葉遊びは外国の人たちも好きなようで、FAT MAN(太っちょの男)をMAT FAN(マットを愛するファン!?)に変身させたりして、喜んでいる。日本語の単語がとんでもない意味に連想されることもある。竹下首相が就任した直後にアメリカに住む友人から届いた手紙には、「新聞の見出しでTAKESHITAの名前を見たときはビックリした」とあった。(辞書でSHITを引いてみてください)
『雪だるまの詩』が放送文化基金賞を受賞した後に事務局の方々と親しく話す機会があり、寄稿を依頼されて書いたものです。コピーライターという職業柄、言葉遊びは大好き。極度の近視による読み間違いで思いがけない新語をつくってしまうことも。



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